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住宅瑕疵(かし)担保責任保険の資力確保
◎住宅瑕疵(かし)担保責任保険とは
事業者が供給した新築住宅に欠陥に起因する雨漏れ等の不具合事象が発生した場合に、
その修補等にかかる費用を補てんする保険です。
◎資力確保とは
新築住宅を引き渡す場合に、瑕疵(かし)担保の履行を確保するために必要とされる措置のことを言います。
確保措置の方法は、保険加入と供託と2つありますので、それぞれご説明します。
【住宅瑕疵(かし)保険の場合】
雨漏れ等が発生して事業者が補修などをした時
→保険法人から事業者に対して保険金が支払われます。(一部自己負担あり)
補修などの責任を負うべき事業者が倒産した時
→住宅の取得者が保険法人に対して費用(保険金)を直接請求できます。
【供託の場合】
雨漏れ等が発生して事業者が補修などをした時
→事業者が全額自己負担で修補を行わなければいけません。
補修などの責任を負うべき事業者が倒産した時
→住宅の取得者が供託所(法務局など)に対して費用(保険金)を直接請求できます。
比較してみると、住宅瑕疵(かし)保険は事業者保護の側面も持ち合わせていることがわかります。
◎資力確保の現状
出典:(株)ハウスジーメン
国土交通省がまとめた資力確保措置の実施状況を見ると、2017年4月から1年間に引き渡された新築住宅は約88万戸。
このうち約42万戸(47.5%)が供託、約46万戸(52.5%)が住宅瑕疵(かし)保険により資力確保措置を取っています。
この内訳を事業者数(建設業者と宅建業者の合計)で見ると、保証金の供託のみは229事業者で全体のわずか0.62%。
対して、供託と保険の併用は83事業者(0.22%)、保険の加入のみが約3万7,000事業者と99%超の事業者が
住宅瑕疵(かし)保険を利用しています。
住宅瑕疵(かし)保険の戸建住宅1戸あたりの保険料は約7万円。
対して供託の場合は、最低でも2,000万円の供託が必要です。
10年経過後に累積戸数(過去10年間の供給戸数)が減少した場合には供託金の還付を受けることもできますが、
供託金の最低金額が高いため、よほど資力のある事業者でないと利用は難しいのが現状です。
◎住宅瑕疵(かし)保険の役割と事業者に求められること
住宅瑕疵(かし)担保履行法が制定されて、まもなく10年を迎えます。
住宅瑕疵(かし)保険開始前の任意の“住宅保証制度”時と比べると、支払事由の発生率は下がっており、
この制度は住宅の品質向上に一定の寄与をしているといえます。
住宅瑕疵(かし)保険は事業者にとって、万が一欠陥のある住宅を供給してしまった場合の“転ばぬ先の杖”のような役割がありますが、事業者には欠陥のない住宅を供給することが求められています。