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兼用住宅・併用住宅について考える

設計

最近では、注文住宅を建てる際に店舗や事務所も合わせて欲しいというご依頼及びご相談が増えてきています。
そこで今回は、兼用住宅・併用住宅の建築基準法、住宅ローンの購入をする際に役立つポイントをご紹介します。

◎兼用住宅・併用住宅の形態の違い

ポイントは、中で行き来ができるかできないか
・中で行き来が出来る⇒兼用住宅
・中で行き来が出来ない⇒併用住宅

兼用住宅の条件として、「住宅と非住宅部分が構造的にも機能的にも一体となっていて用途上分離し難いもの」とあります。
そのため、中で行き来が出来なければ、構造的、機能的に一体と言えないので、住宅部分と事務所店舗部分が中で行き来が出来る事が兼用住宅の条件となっています。

◎兼用住宅・併用住宅の建築基準法上の違い

建築基準法上の大きな違いは「第48条の用途地域」にあります。

建築基準法第130条の3 第一種低層住居専用地域内に建築することができる兼用住宅

法別表第2(い)項第二号(法第87条第2項又は第3項において法第48条第1項の規定を準用する場合を含む。)の規定により政令で定める住宅は、延べ面積の1/2以上を居住の用に供し、かつ、次の各号の一に掲げる用途を兼ねるもの(これらの用途に供する部分の床面積の合計が50m2を超えるものを除く。)とする。

一 事務所(汚物運搬用自動車、危険物運搬用自動車その他これらに類する自動車で国土交通大臣の指定するもののための駐車施設を同一敷地内に設けて業務を運営するものを除く。)

二 日用品の販売を主たる目的とする店舗又は食堂若しくは喫茶店

三 理髪店、美容院、クリーニング取次店、質屋、貸衣装屋、貸本屋その他これらに類するサービス業を営む店舗

四 洋服店、畳屋、建具屋、自転車店、家庭電気器具店その他これらに類するサービス業を営む店舗(原動機を使用する場合にあっては、その出力の合計が0.75kw以下のものに限る。)

五 自家販売のために食品製造業(食品加工業を含む。第130条の5の2第四号及び第130条の6において同じ。)を営むパン屋、米屋、豆腐屋、菓子屋その他これらに類するもの(原動機を使用する場合にあっては、その出力の合計が0.75kw以下のものに限る。)

六 学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設

七 美術品又は工芸品を製作するためのアトリエ又は工房(原動機を使用する場合にあっては、その出力の合計が0.75kw以下のものに限る。)

中で行き来ができる兼用住宅であれば、条件が揃えば第一種低層住居専用区域に建築する事が可能です。
その条件とは、次の3点です。

①内部で行き来可能(兼用住宅にする事)
②店舗・事務所 ≦ 住宅(住宅の床面積の方が大きい事)
③店舗・事務所 ≦ 50㎡(店舗の床面積は50㎡以下である事)

中で行き来がでない併用住宅は、用途地域等の扱いだとあくまで「単独」ですが、単独で店舗や事務所が建てられない地域には建てる事はできません。
また、併用住宅の場合、店舗・事務所部分は、他人に賃貸することができますが、兼用住宅の場合は、店舗・事務所部分は、他人に賃貸することはできません。

◎兼用住宅・併用住宅の住宅ローンの考え方

住宅ローンとは、「本人(個人)及びその家族」または「本人(個人)の家族」が居住するための住宅及びそれに付随する土地(一戸建て、マンション)を購入、新築、増築、改築、既存住宅ローンの借り換えなどを行うために金融機関から受ける融資のことです。
そのため、兼用住宅・併用住宅の店舗及び事務所の部分については、基本的に住宅ローンは適用できません。
店舗及び事務所については、ビジネス等になりますので、別の形でローンを組むことになります。

また、住宅部分についても、兼用住宅・併用住宅と住宅の割合があるので、住宅ローンで住宅部分の費用分、融資できるかというと難しいところです。
どちらにしても、一度、融資に関しては事前審査等で相談が必要になります。

◎ご自分のビジネス等を先に計画して土地購入を考えよう

上記でご説明したように、兼用住宅・併用住宅を計画する際は、用途地域及び条例等をしっかり調査する必要があります。
例として挙げると、洋服店、畳屋、建具屋、自転車店などを第一種低層住居専用区域に建築する場合、原動機を使用する場合にあっては、その出力の合計が0.75kw以下のものすというルールがあります。この内容は結構厳しいと思います。

用途地域及び条例等の内容をしっかりと理解し、まずはご自分のビジネス等を計画してから、建築する場所(土地)を購入することをおすすめします。

土地及び建築物の価格も大事ですが、価格が安いからといって、先に土地購入をするのはやめましょう。